「ニュース」高額療養費制度 なぜ8月から見直し?家計の注意点は
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2026年08月25日
医療費が高額になった患者の自己負担に上限額を設ける高額療養費制度が見直されました。
重い病気などで治療を続ける患者にとって負担を抑えて家計を守る「セーフティネット」のような制度ですが、8月から、ひと月当たりの上限額が引き上げられました。一方、長期にわたって治療を続ける患者に配慮するための新たな施策も設けられました。
見直しの詳しい内容と医療費が増えて家計をやりくりする際の注意点をお伝えします。(池田誠一解説委員)
放送日 8月24日(月) 午後0:20配信期限 8月31日(月) 午後0:28
なぜ今、重い病気などで苦しむ人の負担が引き上げられるのでしょうか。
政府は医療の高度化に伴う高額な薬の増加や高齢化によって高額療養費にかかる費用が医療費全体を上回る速さで増えている中、制度を維持し保険料の増加を抑えるために必要だとしています。
しかし、今回の引き上げは患者団体などの強い反対でいったんは見送られ、その後患者団体も加わった検討会で議論をやり直して、引き上げが決まるという経緯の末に行われました。また、専門家などからは高額療養費制度の費用が医療費全体に占める割合は約7%でけっして大きいとは言えず、重い病気で苦しむ患者の負担から引き上げることは疑問だとする指摘もあります。
こうした中、最終的に8月から行われた今回の見直しでは負担が増える人がいる一方で、長期間治療を続ける人などに配慮した新たな仕組みも設けられることになりました。
では具体的にどう変わるのか。まずは高額療養費制度の仕組みから見ていきます。
たとえば自己負担「3割」の人の場合だと医療費全体の7割は保険から払われ、医療機関の窓口では残りの3割を払います。しかし高額な医療を受けた場合にはこの3割分でも、ひと月に数十万円など高額になってしまうことがあります。
この時、高額療養費制度では収入や年齢によって、ひと月当たりの「負担上限額」が決められているので、それを超えた分は負担せずに済むという仕組みになっています。
今回の見直しのポイントは大きく2つあり、1つはこの「ひと月当たりの上限額」の引き上げです。これは負担の増加につながります。
たとえば年収が約370万から770万円の人の場合で考えてみます。ひと月あたりの負担上限額は年収ごとに決められた「基準額」をもとに計算されますが、この額が8万5800円と5700円引き上げられました。この基準額は年収に応じて変わり、それぞれの年収ごとに4%から7%程度引き上げられます。
一方で今回、負担を抑える仕組みとして新たに設けられたのが「年間の上限額」です。
さきほどの年収の場合、年間の上限額は53万円と設定されました。例えば、がんなどで治療が長引き、ひと月の上限額に毎月ぎりぎりで届かない7万円から8万円程度の負担が続く場合を考えます。
こうした人は、これまでだと年間の負担が70万円以上になっていたのが、上限額の53万円を超える分は負担せずに済むようになります。このように、今回の見直しでは短い期間で高額な医療費がかかる人の負担は増える一方で、長い期間、治療が続く場合などは負担が軽減される人もいるということになります。
この点について、患者の医療費相談に対応する「患者家計サポート協会」代表理事の黒田ちはるさん(看護師・ファイナンシャルプランナー)に聞きました。
黒田さんは長く治療を続ける人にとっては年間上限額ができたことで必要なお金の見通しが立ちやすくなり、この点は評価できるとしています。
一方で「そもそも引き上げ前から、子どもの教育費や住宅ローンを抱えながら医療費をやりくりしている人など、負担が月に数千円増えるだけでも治療を続けられるかどうかという人もいる」と話し、引き上げは患者にとって厳しいものだと指摘します。
そのうえで黒田さんは、家計を守るため大きく2つの点を知っておいてほしいと言います。
まず新しく年間上限額が設けられたものの、1年を通して見てみると、いったん自己負担分を払わなければならない点です。年間上限額はその額を超えた時点で支払いが止まる仕組みにはなっていないので、あとから申請して払い戻しを受ける必要があるためです。
もう1つは「治療中は収入が減る人が多い」という現実です。治療に伴う休職や勤務時間の短縮などで収入が減る人が少なくない一方で、教育費や住宅ローンなどふだんの支出も続きます。そのため医療費の増加に加えて収入面の変化も含めて家計全体を見通すことが大切になるということです。
そのうえで、わからないことは病院の相談窓口や医療ソーシャルワーカーなどに相談してほしいと話しています。
ここまで高額療養費制度の見直しについてみてきましたが、実は医療費の負担をめぐっては、これ以外にも今後、引き上げの検討や実施が相次ぐ見通しです。
その1つが70歳以上の高齢者の医療費負担です。75歳以上の人が払う医療費の自己負担は原則1割、70歳から74歳は原則2割ですが、政府は2割や3割負担の対象を広げることも含めて検討し、ことしの年末までに工程表をまとめる方針です。
そしてもう1つは「OTC類似薬」の追加負担です。これは医師が処方する薬のうちドラッグストアなどで買う市販薬と似た成分や効能がある医薬品で、抗アレルギー薬や解熱鎮痛薬など私たちに身近な薬が多く含まれます。こうした薬を処方された患者に求められる追加の負担が来年3月から始まる予定となっています。
物価が上がる中で医療費の負担まで増えると家計が厳しくなると感じる人が多いと思いますが、私たちの暮らしに必要な医療を守るための負担のあり方なだけに難しい問題です。
高齢化と医療の高度化で医療費が増え続ける中、その負担を誰がどのように分かち合うのか。今回の高額療養費制度や今後の制度見直しについて、国は一部の人の負担が重くなり過ぎていないかなど丁寧に検証しながら、検討と説明を尽くしていくことが求められます。
情報源: NHK NEWS WEB
https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20260825de46156
本動画は要約・音声読み上げによる非公式のニュース紹介です。
BGM: Kevin MacLeod (incompetech.com) — Licensed under Creative Commons: By Attribution 4.0 License (http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)
重い病気などで治療を続ける患者にとって負担を抑えて家計を守る「セーフティネット」のような制度ですが、8月から、ひと月当たりの上限額が引き上げられました。一方、長期にわたって治療を続ける患者に配慮するための新たな施策も設けられました。
見直しの詳しい内容と医療費が増えて家計をやりくりする際の注意点をお伝えします。(池田誠一解説委員)
放送日 8月24日(月) 午後0:20配信期限 8月31日(月) 午後0:28
なぜ今、重い病気などで苦しむ人の負担が引き上げられるのでしょうか。
政府は医療の高度化に伴う高額な薬の増加や高齢化によって高額療養費にかかる費用が医療費全体を上回る速さで増えている中、制度を維持し保険料の増加を抑えるために必要だとしています。
しかし、今回の引き上げは患者団体などの強い反対でいったんは見送られ、その後患者団体も加わった検討会で議論をやり直して、引き上げが決まるという経緯の末に行われました。また、専門家などからは高額療養費制度の費用が医療費全体に占める割合は約7%でけっして大きいとは言えず、重い病気で苦しむ患者の負担から引き上げることは疑問だとする指摘もあります。
こうした中、最終的に8月から行われた今回の見直しでは負担が増える人がいる一方で、長期間治療を続ける人などに配慮した新たな仕組みも設けられることになりました。
では具体的にどう変わるのか。まずは高額療養費制度の仕組みから見ていきます。
たとえば自己負担「3割」の人の場合だと医療費全体の7割は保険から払われ、医療機関の窓口では残りの3割を払います。しかし高額な医療を受けた場合にはこの3割分でも、ひと月に数十万円など高額になってしまうことがあります。
この時、高額療養費制度では収入や年齢によって、ひと月当たりの「負担上限額」が決められているので、それを超えた分は負担せずに済むという仕組みになっています。
今回の見直しのポイントは大きく2つあり、1つはこの「ひと月当たりの上限額」の引き上げです。これは負担の増加につながります。
たとえば年収が約370万から770万円の人の場合で考えてみます。ひと月あたりの負担上限額は年収ごとに決められた「基準額」をもとに計算されますが、この額が8万5800円と5700円引き上げられました。この基準額は年収に応じて変わり、それぞれの年収ごとに4%から7%程度引き上げられます。
一方で今回、負担を抑える仕組みとして新たに設けられたのが「年間の上限額」です。
さきほどの年収の場合、年間の上限額は53万円と設定されました。例えば、がんなどで治療が長引き、ひと月の上限額に毎月ぎりぎりで届かない7万円から8万円程度の負担が続く場合を考えます。
こうした人は、これまでだと年間の負担が70万円以上になっていたのが、上限額の53万円を超える分は負担せずに済むようになります。このように、今回の見直しでは短い期間で高額な医療費がかかる人の負担は増える一方で、長い期間、治療が続く場合などは負担が軽減される人もいるということになります。
この点について、患者の医療費相談に対応する「患者家計サポート協会」代表理事の黒田ちはるさん(看護師・ファイナンシャルプランナー)に聞きました。
黒田さんは長く治療を続ける人にとっては年間上限額ができたことで必要なお金の見通しが立ちやすくなり、この点は評価できるとしています。
一方で「そもそも引き上げ前から、子どもの教育費や住宅ローンを抱えながら医療費をやりくりしている人など、負担が月に数千円増えるだけでも治療を続けられるかどうかという人もいる」と話し、引き上げは患者にとって厳しいものだと指摘します。
そのうえで黒田さんは、家計を守るため大きく2つの点を知っておいてほしいと言います。
まず新しく年間上限額が設けられたものの、1年を通して見てみると、いったん自己負担分を払わなければならない点です。年間上限額はその額を超えた時点で支払いが止まる仕組みにはなっていないので、あとから申請して払い戻しを受ける必要があるためです。
もう1つは「治療中は収入が減る人が多い」という現実です。治療に伴う休職や勤務時間の短縮などで収入が減る人が少なくない一方で、教育費や住宅ローンなどふだんの支出も続きます。そのため医療費の増加に加えて収入面の変化も含めて家計全体を見通すことが大切になるということです。
そのうえで、わからないことは病院の相談窓口や医療ソーシャルワーカーなどに相談してほしいと話しています。
ここまで高額療養費制度の見直しについてみてきましたが、実は医療費の負担をめぐっては、これ以外にも今後、引き上げの検討や実施が相次ぐ見通しです。
その1つが70歳以上の高齢者の医療費負担です。75歳以上の人が払う医療費の自己負担は原則1割、70歳から74歳は原則2割ですが、政府は2割や3割負担の対象を広げることも含めて検討し、ことしの年末までに工程表をまとめる方針です。
そしてもう1つは「OTC類似薬」の追加負担です。これは医師が処方する薬のうちドラッグストアなどで買う市販薬と似た成分や効能がある医薬品で、抗アレルギー薬や解熱鎮痛薬など私たちに身近な薬が多く含まれます。こうした薬を処方された患者に求められる追加の負担が来年3月から始まる予定となっています。
物価が上がる中で医療費の負担まで増えると家計が厳しくなると感じる人が多いと思いますが、私たちの暮らしに必要な医療を守るための負担のあり方なだけに難しい問題です。
高齢化と医療の高度化で医療費が増え続ける中、その負担を誰がどのように分かち合うのか。今回の高額療養費制度や今後の制度見直しについて、国は一部の人の負担が重くなり過ぎていないかなど丁寧に検証しながら、検討と説明を尽くしていくことが求められます。
情報源: NHK NEWS WEB
https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20260825de46156
本動画は要約・音声読み上げによる非公式のニュース紹介です。
BGM: Kevin MacLeod (incompetech.com) — Licensed under Creative Commons: By Attribution 4.0 License (http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)